クリニックの拡大スピードとスタッフの成長スピード

from【院長 金丸】



先週、あるカフェに行ってきました。

このカフェは元々は東海地方で多店舗展開していて、ここ数年で九州地方にまで出店してきました。

名古屋に出張した際に何度か入ったことがあったのですが、とにかく居心地の良いお店でした。

なので、福岡への出店はとても嬉しかったです。

しかし、実際に行ってみると。。。

「このお店のスタッフは全員アルバイトか??」

と思うくらい全てがメチャクチャでした。

平日でそこまで混んでいなかったのにも関わらず、入店しても店員は誰も声をかけてくれない。

お客さんがいないテーブルには至るところで飲み終えたカップが放置されている。

店員は雑談ばかりしていてオーダーを聞きに来てくれない。

トイレはとんでもなく汚い。。。

挙げればキリがないくらい問題点が散見されていました。

私は素人なのでこのカフェの運営会社などの細かいところまでは分からないのですが、明らかにスタッフ教育が企業の成長スピードに追いついていない感じがしました。

仮にフランチャイズだとしても、もうちょっとやりようはあるのではないか。

ガッカリしながら帰宅しました。

最近の歯科業界でも、こういったことはよくある話です。

拡大志向の先生も増えてきて、かつてない勢いで大型化している歯科医院もたくさん増えてきました。

もちろん、そんな中でもしっかりとスタッフ教育をしてクリニックの拡大スピードとスタッフの成長スピードが合致しているクリニックもありますが、同業者として心配になるようなクリニックがあるのも事実です。


パッカードの法則というものがあります。


パッカードとはHP(ヒューレットパッカード)の創始者で、米国の企業経営にとても大きな影響を与えた人です。

彼、曰く、


「成長を担う適切な人材を集められるより早いペースで売上を増やしながら偉大な企業になることはできない」

とのこと。

つまり、人が成長していないのに、会社が成長することなんかできないという事です。


ところが世の中には急成長企業というものがたくさんあります。

そして、メディアはそういう会社を取り上げます。

なので、

「急成長企業ってカッコいい!」

みたいなイメージを私たちは抱いてしまいます。


でも、メディアと現実は全然違いますよね。

パッカードによると、現実的には急成長企業は、ある一定期間を過ぎると多くの問題を抱えることが多いそうです。

企業の成長スピードが人の成長スピードより速いので、入って1年2年の新人クラスが、中核を担わないといけないという状況が慢性的に続きます。

そして、経営というのは必ず「波」があります。

上手くいくときもあれば、大変な時もある。

上手くいってる時は、新人がなんとか回すことができるかもしれません。

ところが、大変な時になると、技能不足の新人では対応ができなくなります。

そうなってくると無理が祟って退職者も増えてきます。

そして、このタイミングで退職するのは優秀な人材からというのがセオリーです。


規模が大きくなっているので、その時の問題の大きさも深刻です。

なので、人の成長よりも早い企業の成長は必ず破綻する。

というのが、パッカードの法則の言うところだと私は認識しています。

どんな職種でもこの法則は当てはまると私は考えています。

現状でも既にたくさんの患者さんが来院してくれていますが、クリニックの拡大よりもスタッフの成長を最優先して、地に足をつけてクリニックの運営をしていきたいと改めて思いました。